二藍蝶
「何てな
 ここに帰って来るなら
 行って来いよ」

「うん
 帰って来るよ」

お前が最後に帰る場所が
俺の元なら、それでいい。

「じゃあ
 いってきます」

寂しいのは、俺もお前も
同じ・・・・・・

浬は、部屋の鍵をかけ
出て行く。

迎えに寄越した車のドアを開け
いつものように、後部座席に
乗り込もうとした浬は驚く。

「セキ、お前いたの?」

「いたのって何だよ
 
 お前、こんなところで
 何してる?
 
 迎えに行ってもいない
 電話にも出ない
 
 みんな
 首を長くして待ってるぞ」
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