アイコトバ。 feat.とうふ白玉
「百合、騒ぐんじゃない。あと食べ物では遊んじゃダメだよ」
秀樹に注意され、百合は「ごめんなさい」と言って、大人しくなった。
「ねぇねぇ執事さん、もう食べていいかしら?」
先ほどと明らかに態度の違う洋子がにこやかに黒川に言う。
「えぇ、構いませんよ。召し上がってください」
黒川も丁寧な口調で返す。するとカチャカチャと金属の触れ合う音ともに皆、目の前の料理を口に入れ始めた
「おっうめ~!!瑞希、この肉食ってみ?めっちゃうめぇぞ!!」
「え?どれどれ?…ホントだ!!美味しい!!」
拓真と瑞希は既に料理に夢中だ。
「百合、ちゃんと噛みなさい。喉に詰まるぞ」
「はぁい、お父さん」
秀樹に注意されながらも、満足そうに料理を頬張る百合。
「どれもおいしいですわ」
「……」
黒川に笑顔で言う洋子。隆一はその様子を無言で見ていた。
「どれも美味しいですね、あなた」
「そうだな。柔らかいし噛みやすい」
この老夫婦の二人も拓真と瑞希のように料理に夢中のようだ。
明るい奇妙な晩餐会の裏、屋敷のどこかで奇妙な笑い声が聞こえた。