一なる騎士

(10)大地の剣

 公爵からリュイスに私室として与えられた部屋は、広いばかりでなく豪華な調度品で埋め尽くされていた。豊かなセイファータの権勢を誇示するように。

「元気ですよ」

 精緻な皮細工を施してある柔らかなソファに腰を下ろすなり、クレイドルは言った。

「なにが元気なんだ」

 いきなりの切り出しに、さし向かいに座ったリュイスはけげんげな顔をした。

「気になってしかたがなかったんじゃないんですか。あの小さな金の姫君ですよ。『封の館』に着いてしばらくは、体調を崩して一時期はほんとうに危なかったんですが、いまは順調に快方に向かっています。王宮にいたころよりは体重も増えていると思いますよ。まだ標準には程遠いですけれどね。精霊使いとしての勉強にも取り掛からせたところです」

「それはよかった」

 本心から安堵の表情を見せるリュイスに、クレイドルはふわりと微笑む。
 青い瞳が悪戯ぽい光を帯びた。

「もうひとり気になる方がいるでしょう?」

< 113 / 212 >

この作品をシェア

pagetop