一なる騎士
「それなら、アディリ。私も連れて行って」

「無茶を言わないで」

 即答だった。けれど、サーナにも引く気はない。たとえ命を賭けてでも。

「私はセラスヴァティー様の侍女よ。まだあんなにも幼いのに、お一人にできるわけがない。お母様にだって頼まれたのよ」

 わざとアディリの言い分をなぞって答えたサーナをアディリは睨む。

「そういう言い方はずるい」

「大人はずるいものなのよ」

「危険だって言わなかった?」

「一人も二人も同じでしょう。私を連れて行くのが危険なら、アディリ、あなただって危険だって言うことじゃないの」

「無茶苦茶ね」

 うっすらとアディリはわずかに微笑むと、ふいに真剣な表情に切り変える。水色の瞳に強い意志が宿る。

「王宮の側にクレイドル様がいる。向こうからも手伝ってもらうことにする。覚悟して」

「なにを?」

 と、尋ねる暇すらなかった。
 風と光が二人の体を包んだ。
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