一なる騎士
 王座の頭上の天窓に貼られた硝子が砕け散り、破片がリュイスの頭上に降り注ごうとしていた。

 天罰だと思った。
 そう、忠告はされていたのだ。

 戦女神ナクシャーを選ぶなと、仕える女神を間違えるなと。
 姉を通して伝わった母の予言。

 なのに、自分は力を欲するあまりに非情の戦乱の女神を選んでしまった。
 情を捨て、騎士としての誇りを履き違えてしまった。 

 またしても間違えてしまったのだ。
 そして、それはもう取り返しがつかない。

 リュイスは目を閉じた。
 己をかばおうともせず、それをただ甘受しようとした。

 しかし。
 強い力が腕を引き、彼は後ろに引っ張られる。
 風が巻き起こり、硝子の破片が吹き飛ばされた。


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