一なる騎士
「今のうちから、姫君に個人的に恩を売っておくのも悪くないとは思うけれど、僕もこれからは忙しくなる。リュイス殿が動き出したからね」

「え? それはどういう?」

 リュイスの名に瞬時に反応して、サーナが問い返したときだった。
 かちりと、音がしてドアがゆっくりと開いた。

「お客さま?」

 か細い声と同時に、幼い姿が現れた。
 白い寝着に裸足のままで、セラスヴァティー姫が扉にすがって立っていた。

「姫様!」

 あわてて立ち上がったサーナは、かたわらの小さな教師が息を飲むのに気がつかなかった。

< 73 / 212 >

この作品をシェア

pagetop