こころ、ふわり
私が部活を終えて、更衣室で着替えた頃には下校時刻を迎えていた。
下校時刻と言っても目安として設けられているくらいなものなので、それ以降残っているのを見つかると注意されるくらいだった。
時々見回りの先生がいたりするので、たいていはそういう先生に注意されることが多い。
私以外にも生徒は残っているようで、校舎の廊下にはどこからともなく話し声が響いていた。
校舎を出て、渡り廊下を小走りで抜ける。
渡り廊下から見えるグランドは日が暮れて薄暗かった。
美術室から明かりが漏れているのが見えて、それは芦屋先生がまだいることを示していた。
扉の前まで来たところで、いったん足を止めて胸の高鳴りを押さえる。
辺りを見回して、誰もいないのを確認してからそっと扉を開けた。