こころ、ふわり
少しの間、訪れる沈黙。
私から先生に会いに来たのに、なかなか言い出せなくて結局こうやって沈黙になってしまう。
言いたいことがまとまらなかった。
とりあえず、本題を切り出す前に確認しておきたいことがあった。
「先生。誰かに私のことを話したりしてますか?」
「え?誰かにって?」
芦屋先生が怪訝そうに眉を寄せる。
心当たりの無さそうな顔だった。
「玉木先生が……知ってるみたいに言ってたから」
「玉木先生?」
私が発した玉木先生という言葉に反応した芦屋先生は、「なんて言ってた?」と尋ねてきた。
「付き合ってたのかって、聞かれました。そうじゃないなら、どっちかの片想いなのかって」
言いながら、芦屋先生が寝言で私の名前を呼んだことも言おうか迷ったけれど、この場では言わないことにした。
寝言なんだから、芦屋先生が自分で分かるはずもない。
ただ、2人で泊まったりする関係なのかどうかは聞きたかったけれど、そこまでの勇気も無く。
芦屋先生はなんだか少し考えているような表情で、それきり黙ってしまった。