こころ、ふわり
後輩2人と、同級生1人が先に的を射る。
相手も同数きちんと射ており、私の番になった時にはとても緊張した。
この緊張感というのは、試合でしか感じられないものなので非常に心地よくもなったりする。
今日の私は調子がいいのか、予選で的を外すことは無かった。
順調に勝ち進み、準決勝までは難なくクリアした。
会場に張り出されているトーナメント表を見て、顧問の先生が少し苦い顔をしていた。
次に当たる高校は、常連校でいつも優勝しているところだ。
「萩、今日いい感じだね」
まだ個人戦が始まらないので、菊ちゃんは団体戦の応援をしてくれていた。
菊ちゃんにはそう言ってもらえたけれど、私はあまり自信もないし大きな意気込みも言えなかった。
「とにかく的に当てるしかないからね」
力無く笑う私に、菊ちゃんは喝を入れるように「何言ってんの!」と口を尖らせた。