こころ、ふわり
準決勝。
重苦しい雰囲気の中、試合が開始された。
時間制限を設けられている中、一番最初に射る後輩が集中力を欠いてしまったのかとても時間がかかってしまった。
二番手の後輩も、釣られて時間がかかる。
2人はそれぞれ4射のうち、半分を的から外していた。
「少し巻いていこう」
残った私たち3人はうなずき合って、対戦相手の様子を探る。
すでに的を射た数は負けている。
三番手の同級生は、残り時間が少ないことに気を取られひとつ的を外したけれど、3つは外さなかった。
私の番が来て、一気に緊張が走る。
おそらく、このままでは私がひとつでも的を外したらこの試合には負けてしまう。
さっきまでの試合とは状況も違うし、時間も無い。
フーッと大きく深呼吸する。
手が震えた。
この4射を終えたら、もしかしたら終わりになるかもしれない。
3年間打ち込んできた弓道。
高校に入ってから始めたけれど、その時の精神状態が顕著に反映する弓道に私は夢中だった。
でも、そんな弓道漬けの毎日ももうすぐ無くなるんだ。