こころ、ふわり


ふと顔を上げると、私の両親や澪たちの姿が目に映った。


頑張れ、と言っているのが聞こえる。


若菜と澪の隣には背の高い徳山先生がいて、そして、徳山先生の隣にもう1人長身のマスク姿の男の人がいた。


何度も何度も、瞬きをして確認する。


徳山先生の隣にいたのは、幻でもなんでもなくて、芦屋先生だった。


マスクをしていたって、私にはその人が芦屋先生だとすぐに分かった。


動揺してしまいそうになる心を慌てて元に戻す。


まさか、澪から私の試合があると聞いて、徳山先生が芦屋先生に連絡したのだろうか?


いや、この際誰が連絡したのかは問題ではなかった。


芦屋先生が私のために試合を見に来てくれたというだけで、涙が出そうなほど嬉しかった。


数え切れないくらい、色んなことがあったのに。
たくさん迷惑もかけたのに。


それでも来てくれたことが嬉しかった。

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