白衣を脱いでキス。



あたしの涙で濡れた親指を先生はペロリと舐め上げた。

その仕草がなんだか色っぽくて。

ただ、ジッと先生を見つめてた。


「…しょっぱい」


フッと笑む先生が好きだって、自然に思った。

出会って、たったの2日。

先生について知ってることなんてないに等しいくらいで。

知らないことがまだまだたくさんありすぎるくらいにある。

でも…。

頭でどう考えたって、この人を好きだと想う気持ちはずっと変わらないなぁって根拠もないのに想った。


「先生」


「ん?」


少しだけ抱きしめる腕を緩めた先生が優しい瞳であたしを見つめる。


「名前、教えてください」


そう。

先生の名前すらあたしは知らないのに告白をしてしまったのだ。



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