白衣を脱いでキス。



さっきいた衛生士さんが先生を“青木先生”って呼んでたけど…。


「はは、そうか。まだ名前も教えてなかったんだね」


くるくると先生の指にあたしの髪が巻きつけられている。


「そうですよ。先生はあたしの名前を知ってるのに、あたしは知らなくて不公平です」


唇を尖らせると、ちゅっとリップ音を立ててキスされた。


「真っ赤。…青木 誠【あおき まこと】だよ」


青木、誠……さん。


「理子ちゃん、名前呼んでみて?」


にこにこと笑顔を浮かべる先生は絶対あたしで楽しんでるって感じだ。


「…青木、先生」


「今、名前教えたでしょ」


「……ま、こと…先生…」


「…僕と恋人になるのに先生はないでしょ…」


…それもそうか。

でも心の中では先生をずっと先生と呼んでたわけで。

なかなか、恥ずかしい…。


「…ぅ~」


どうしようもないくらい恥ずかしさと照れが襲ってきて。

自覚できるほどに顔が熱い。


「最初が肝心なんだから、ちゃんと言って」


…厳しい。



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