白衣を脱いでキス。



確かに付き合って先生って最初に呼んだらそれが定着する気もするけどさ…。


「ま…まこと……さん」


「なんか余計なのもついてきた気がするんだけど」


「っこれが精一杯ですっ」


年上の先生を呼び捨てで呼べるわけがない。

名前で呼ぶのだっていっぱいいっぱいなのに…。


「ま、いいか」


瞳を細めてあたしを見つめる眼差しが、これまで出会った男の人の誰よりも優しくて、温かくて。

先生…じゃなくて…誠さんの胸に顔を埋めた。

白衣からは、歯医者さん特有の匂い。

…あと、安心できる爽やかで誠さんにピッタリな香り。

それを胸いっぱいに吸い込む。


「理子ちゃん?」


「なんですか?」


誠さんの胸に顔を埋めたまま答える。

顔を上げたとして、誠さんの顔を直視する自信がない。


「顔見せて」


「や、です」


まだ涙は乾いてないし。

きっと顔がぐちゃぐちゃだよ…。


「見せて」



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