アンガー・グラッチ・ヘイトレッド

戦いとクロちゃんと詩織ちゃん

快晴とまではいかないけど爽やかな青空にポツポツと雲が浮かんだ空だった。

一人暮らしをしている滝本から言わせて見れば絶好の洗濯日和だとか。
「シュウってさぁ、本当に真面目っていうか。見た目は遊んでそうな雰囲気なのにねぇ。」
「うるせぇーな。何?そのギャップってヤツがいいんだろ?お前この前そんなよーな事言ってたじゃん。」
「シュウはね、差がありすぎなんだよ。」
「なんでこんなにしっかりしてるのにモテないんだろ?」
「人の話し聞けって!」
「あぁ!?」
「だからギャップっつっても差がありすぎなんだよ。好感度アップっつうよりむしろ引く。」
「あぁ!?なんだよ不真面目野郎。もっとまともに生きてみろ!」
「十分シュウよりまともだよ。」
「彼女の一人くらい出来てから俺のことけなせっつの。」
「そーゆーシュウだって」
「いるよ!」
自信たっぷりな滝本の口調に正直僕は戸惑う。
「は?え?だってシュウさっきモテないって…」
「アレは言葉のあや?ってヤツだよ!」
と、滝本の携帯からヤツには似合わないオルゴールの着信音が鳴った。
滝本は慌てて携帯を開く。
メールが届いたらしくボタンを数回押して画面を見ているのだが。その一連の動作がどこかぎこちなく、滝本のにやけた顔も僕の視線に気付くといつもの表情にすぐさま戻ったりと、僕の目には今の滝本はかなり怪しく写る。
無言のままメールの文章を作成する滝本をしばらく見守っていたのだが、僕のしびれは限界に達した。
「おい!なんだよ?そのメール。ちょっと見せてよ。」
ちょうどメールを返信し終えた滝本は僕の言葉に分かりやすいくらいギクリとし、
「だ、ダメだ!ダメダメ!つか俺、用事あるから行くわ!じゃーな!」
と、駅前に向かって足早に駈けていった。
いつになく世話しない滝本…。はっきり言ってめちゃめちゃ怪しい。
これは
後つけるっきゃないっしょ!
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