引っ込み思案な恋心。-1st
「えっと……」
急に私の心臓の鼓動が速くなった。
バクバクと、今までこんなに速かったかというくらい。
私に聞こえてくるぐらい大きな音で、ますますどうしていいのか分からなくなった。
瀬川くんの顔すら見れない。
私の顔は自然にうつむいてしまっていた。
だって、私の好きな人は、瀬川くんなんだよ?
そんなこと、こんなに大勢の人が周りにいる中で言えるわけがない。
どれほどの沈黙が流れたのか、分からなかった。
しばらくして、瀬川くんが口を開いた。
「…ごめんな、変なこと聞いたよな?あんま深い意味はなかったんだけど……、気ぃ悪くしたらごめん」
『ごめん』って、瀬川くんは悪くないのに。
瀬川くんは私の心に秘めている気持ちなんて知らないんだから。
「この話は終わりな。ほら、もうちょっとで1年の部が始まるし、応援しよーぜ」
瀬川くんの言葉が、ひどく穏やかだった。
だから余計に私の心が痛んだ。
何で私、何も言えなかったんだろう?
もしも『瀬川くんが好き』って言っていれば…?
でも、瀬川くんには好きな人がいるのに……。
「あっ、あの……」
「え?どした?杉田」