引っ込み思案な恋心。-1st
「お、俺……」
瀬川くんが顔を上げて私の顔を見てきた。
真剣な顔に思わずドキッとした。
そして、更に瀬川くんが続けた。
「好きなヤツは……」
「あっ、柚に瀬川!!いたいた!」
瀬川くんが口を開いた途端、後ろからあゆの大きな声が聞こえてきた。
私と瀬川くんはびっくりして、後ろを振り返った。
「ごめんね、急に出て行って。あ、もうすぐななっぺ達の番だね。間に合って良かったぁ〜」
けど、私達の驚いた表情に気付くことのないあゆは、いつも通りの明るい声で話しながら私の隣に座ってきた。
「…あれ?どうしたの?二人とも」
座って落ち着いたところで、ようやくあゆが私と瀬川くんの驚いた顔に気付いた。
「別に何でもねーし」
瀬川くんはあゆから視線を外しながら、トーンの低い声でそう言った。
すると、あゆは何か思いついたような顔をした。
「あっ、また柚いじめてたんでしょ?」
「ちげーし!!」
「柚、大丈夫だった?こんなヤツと二人きりにさせちゃって、ごめんねえ」
「うっ、ううん!!そんなんじゃないから、ホントに!」
「…そぉ?怪しいけど、柚が否定するならまあいいか」
あゆはまだ、瀬川くんが私にちょっかい出したと思っていたみたいだった。
けど………
「多田にはどうでもいいことだから!それよか、マサと細井の番みたいだから、応援するぞ!!」