引っ込み思案な恋心。-1st





気付くと、スタートラインにはななっぺのチームが赤いハチマキで自分の足をくくりつけて、むかでの準備をしていた。





…てか、『多田にはどうでもいいこと』って、瀬川くんの好きな人は、あゆじゃないってことかな…?





うっかりまた詮索してしまったところで、私はあゆに引っ張られて立たされる形になった。





「ほら、柚も!!立たないとななっぺには見えないぞ!!」



「え、うん」





いつの間にか瀬川くんが立ち上がっていて、更に次々とクラス全員が立ち上がり始めた。





「あっ、始まる!!」





あゆが言った途端、空砲が放たれて、ななっぺ達のチームが『1、2』と声を合わせながら走り出した。





「ななっぺ〜〜!!」



「マサー!!」





両隣の二人が、必死な大声で声援を送っている。





私も自分のことのようにドキドキしながらそのレース展開を見守った。











だけど、やはり練習通りと言うか……。





後ろから2番目に並んでいた倉本くんの足並みが狂い始めた。





「ああ!!倉本、何やってんのよ!?」



「マサ、ちゃんと声に合わせろー!」





もちろん、私の両隣のあゆと瀬川くんは倉本くんに大声を送る。





それでも無理矢理足並みを揃えながら、何とか中盤の地点までやってきた。





この時点で、5組中4位。





この速さだと、何とか5位のチームをかわせると思うけど、微妙な位置であることは間違いなかった。





うちのクラスのテントは、『このまま行けーー!』と、大盛り上がりしていた。








ななっぺ、愚痴は確かに多かったけど、一生懸命練習に取り組んでいた。





だから、この努力はきっと報われるはず。





頑張れ、ななっぺ…!!





私も胸の前で両手を組んで、澄んだ青空に祈った。








けど。





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