致命的フェティシズム【BL】
 
「……先生」


 答案を返し終わった所で、1人の生徒が教壇までやって来た。


 生徒の名は、白木雪斗[シラキユキト]。


「あのさ、先生」


 小柄な白木が、俺を見上げた。

 大きな黒目が、不満そうに俺を映している。

 そして、右手を少し上げるなり小さく手招きした。


 ……嫌な予感がする──が、生徒達の前で白木を無視する訳にもいかず、俺は長身を屈める。


 背伸びした白木が口元に手を当てて、俺の耳元に口を寄せた。


「──先生って、意地悪だね」

「……っ!?」


 それだけ言うと、白木は席に戻っていった。


 意地悪、って!?

 俺はお前に何もしてないぞ!!


 それに、白木の点数は42点。

 決して良い点数ではないが、追試にはならなかったんだ。

 文句を言われる筋合いなんて無い!


 だが──俺はアイツに、どうしようもない弱みを握られている。

 それが、悩みの種。
 
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