蒲公英
結婚して5年。

ついに未来との子供を授かったらしい。






僕らはもちろん、未来ですら今の今まで知らなかったようだ。

言えよ!と喚きながらパニックに陥っている。




「これ、もらっていい?」




僕は河南子の髪飾りの花を一本抜き、春日に差しだした。




「おめでとう」




春日が笑う。

こんなところで報告してしまうのも彼女らしい。






もう誰に向けられているのかわからない拍手の中、僕と河南子は次の会場へ移動するために車へと乗り込んだ。

ふたりのためだけに用意された真っ白なベンツだ。
< 96 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop