空き瓶ロマンス



「家に帰るまで待てなかったの?」

「だって、今日土曜日だから、

午前中で受付閉まっちゃうんだもん!

親も仕事でいないし、

……今日途中で帰るって言ったのは、それでだよ。

きっと猫かごから、出ちゃったんだ……」
 
語尾は、泣きそうな声で小さく消えた。
 
数人は同情したが、それ以外は溜息を吐いた。

同情したのは主に、家で動物を飼っている部員だった。

厄介なことに、と眉を顰めたのは、

何も飼っていない部員達だった。
 

そのうち些細な言葉のやり取りから、

喧嘩が始まった。



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