空き瓶ロマンス
私の中はぐちゃぐちゃで、
色んな感情がまざって何とも表現しがたい感じになっていて、
そういえば私はこの部屋に入ってから、まともに母と口を利いていないのだと気付く。
母は、真っ直ぐに私を見ていた。
心なしか頭が傾いて見えるのは、多分疲れて頭を支え切れなくなって来たからだと思う。
私は、ちょっと考えてから、母に尋ねた。
「ねえ、お母さん……お母さんは、幸せだった?」
母は即答した。
ええ、こんなにも良い子達に恵まれたんだもの。
今の夫も、その子供も……『みちる』だって、良い子だわ。
自分勝手な母親で許してね。
私は幸せよ……。
そう言った母の頬を、また涙が伝った。
私は、強めの口調で言った。
「幸せだったら、『許して』なんて言わないで。
惨めったらしく泣かないでよ。
せめて、……最後まで、笑ってて」