空き瓶ロマンス
再婚相手の子供という私達を前にして、内心穏やかではなかったかもしれないけど、
彼は私達に頭を下げて、今日ここに来た事にお礼を言った。
多分、母はこの人といて、幸せだったのだろう。
「母を、よろしくお願いします……」
兄がそう言うと、斎藤さんはぶわっと泣き出し、私達を抱えるようにした。
兄は一緒になって、少しだけ泣いていた。
大の大人が二人して、病院の廊下で泣きじゃくった。
近しい人の……人の命とは、死ぬ事は、こういう事なのだ。
建前も外聞も、どうでもよくなるくらい、つらいこと。
私達は、病院を後にした。