空き瓶ロマンス
「真に受けない方が良いですよ。
あれを信じちゃったら、日本中の若者が危険思想の持ち主に事になっちゃう……」
しょんぼりしていたさっきまでの態度はどこへやら、
妙に悟った様な事を言い出したみちるが少々勘に障り、信也は思わず言ってしまった。
「そんな事を言っておいて……もし仮に、倫子がそういうものに興味があったら、どうする気だ?」
言ってから、彼は自分が今とんでもないことを口走ったと気付いた。
ありえないだろ。
倫子に限って。
しかし、みちるは数秒きょとんとしてから、意味ありげに、にやりと笑った。
なんだ、その顔は! 何を隠している!
「……なんちゃって」
いかにも秘密を知っているぞ、という含み笑いをしたと思ったら、
途端にみちるは、がっかりしたように大きな溜め息を吐いた。