空き瓶ロマンス
「先せ……」
声をかけかけて、止めておいた。
昨日は随分と、夜更かしをさせてしまった。
少しでも長く眠っていた方がいいだろう。
みちるは、なるべく物音を立てないように立ち上がり、自分にかけられていた布団を、そっと信也にかけた。
そして、鞄から適当な紙を引っ張り出し、短いメモを残した。
『昨日は失礼しました。帰ります。 ――斎藤みちる』
玄関のドアが閉まる音で、信也は目を覚ました。
目を擦りながら体を起こすと、テーブルで眠っていたはずのみちるがいなくなっていた。
ただし彼の代わりに、書き置きがあった。
律儀なことをするな、と感心していた信也だった。