空き瓶ロマンス
動悸が止まらない。
息が苦しくて、むせ返った。
そのまましばらく蹲っていたら、私の様子を見ていたのか、近くのショップから店員の女の人が駆けつけてくれた。
声をかけられて、訳も分からないまま、うん、うん、と頷いて、茫然としていると、みちるが走って来るのが見えた。
繋ぎっぱなしの携帯電話を、床に落としていた、私の尋常じゃない姿を見て、みちるは泣きそうな顔をしていた。
「ごめん、倫子、大丈夫……!?」
私はゆっくりと首を振った。
違うの、みちるがいなくなって、こんなふうになったわけじゃないの。
私は、呼吸を整えて、大きく息を吸って、やっと言った。
「……かえりたい……」
みちるは何かを悟ったのか、私を心配してくれている店員さんにお礼を言って、
私に「立てる?」と肩を貸し、歩き始めた。