夢の彼方
「わたしはあのドラマの大ファンでね。あの話もとてもよかった!あなたの演技も素晴らしかったよ!」


「あ、ありがとうございます」


思わず嬉しくなって、わたしは手を差し出した。


男の大きな手があたしの手を包み込み、ぎゅっと少し痛いほどの握手を交わす。


「息子の友達の母親だなんて、こんな幸運に巡り合えるとは思わなかったよ!いや、本当に感激だ!」


手をぶんぶんと振り、満面の笑みで感激している男に、ちょっと気押される。


アメリカ人がオーバーアクションなのにはちょっと慣れてきたつもりだけど―――


と、そこへすっとレジーの手が伸びて来て、わたしの手を握っていた男の腕に軽く手をかけた。


「すいません、あんまり騒がれてしまうと―――子供たちにもよくないですから」


その言葉に、男もようやく自分の声の大きさに気付いたようにはっとした。


「ああ、そうだね。すまない、つい興奮してしまって・・・・。いや、でも本当にうれしいな。これからもがんばってくれ

よ」


「はい、ありがとうございます」


にこやかに手を振って男が行ってしまうと、レジーは小さく溜息をついた。


「ファンがつくのはいいことだけど―――中には危険なファンもいる。近づく時はもっと注意して」


「あ―――うん」


なにしろファンという人にあったのはこれが初めてなのだ。


それだけで舞い上がってしまって・・・・・。
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