夢の彼方
その境目が、わたしはよくわかっていなかった。


蘭を、もっと知らなくちゃ。


ただ蘭になろうとするだけじゃダメなんだ・・・・・。


わたしは台本を何度も読み返した。


そしてスティーブンと何度も役柄について話した。


話せば話すほど、蘭とわたしは違うということがわかる。


まるで違う人間だ。


それをどう演じるか―――


『蘭を、好きになるんだよ』


アーティーの言葉が蘇る。


そうか。


好きになればいいんだ。


日本で刑事の職を失い、新しい地でまた科学捜査の道へ導かれる。


クールに装いながらも、新しい仕事に打ち込もうとする蘭。


きっと、彼女も最初は不安だったはず。


だけど、それを見せまいとクールを気取る・・・


そんな風に思えば、彼女を愛しく思えてくる。


きっと家では、職場とは全く違う表情を見せているだろう・・・・・。
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