夢の彼方
「―――カ―――ット!!優奈、良かったよ」


スティーブンの声にハッとする。


―――良かった?わたしが?


まだ呆然としているわたしの肩を、アーティーが叩く。


「よかったよ、優奈。その調子で、次も頼むよ」


「わたし―――良かった?」


「ああ、とても。もう自信持っていいよ。君はちゃんと蘭になってた」


その言葉に。


思わず涙が零れそうになって、慌ててそれを抑えた。


撮影は、まだ終わってないのだから。


涙なんかながしちゃダメだ。


そうして再び、わたしは撮影に挑んだ。


徐々に減っていくNGの数。


撮影が進むにつれ、わたしは蘭という女性のことが好きになり、彼女のことが理解できるようになっていった。


そうして無我夢中で演じ続け―――


気付いたころには、今までのシーズンと同様、いやそれ以上に、新しいシーズンのドラマは大ヒットしていたのだった・・・・・。
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