夢の彼方
若いのに、ずいぶん疲れているように見えた・・・。
「―――あんた誰?」
義姉の言葉に、その女性は伏せ目がちにこちらを見た。
「あの―――わたし、小木と言います。この子は、未鈴―――あの・・・・・市村さんに、助けていただいた―――」
「あ―――じゃあ、あの時の―――」
「はい。あの日、わたしが部屋でうたた寝をしていた時、この子が、玄関から出て行ったことに気付かなくて―――いつもなら鍵を閉めているのに、あの日は閉め忘れていて―――それで、道路に出て―――市村さんがハンドルを切らなかったら、娘は―――」
震えながらそう言う小木さんの体は細かく震えていて、その小木さんの手を美鈴ちゃんはしっかりと握っていた。
「あんたが―――あんたの娘のせいで信次は―――!」
義姉が、すごい剣幕で迫ってきた。
わたしは、咄嗟に小木さんの前に立ちはだかった。
「どきなさいよ!この馬鹿な親子のせいで信次は死んだのよ!殴ってやんなきゃ気が済まないわよ!」
「やめてください。それじゃあ、信次さんの死が無駄になります」
「なんですって!?」
「信次さんは―――この子を守ろうとしたんです。この小さな子を―――死なせちゃいけない。そう思ってハンドルを切ったはずです。なのに、この親子を責めてしまったら―――信次さんの気持ちが、無駄になってしまいます」
「ふん!この偽善者!かっこつけんじゃないわよ!」
そう言い放つと、義姉はくるりと背を向け、行ってしまった・・・・・。
「―――あんた誰?」
義姉の言葉に、その女性は伏せ目がちにこちらを見た。
「あの―――わたし、小木と言います。この子は、未鈴―――あの・・・・・市村さんに、助けていただいた―――」
「あ―――じゃあ、あの時の―――」
「はい。あの日、わたしが部屋でうたた寝をしていた時、この子が、玄関から出て行ったことに気付かなくて―――いつもなら鍵を閉めているのに、あの日は閉め忘れていて―――それで、道路に出て―――市村さんがハンドルを切らなかったら、娘は―――」
震えながらそう言う小木さんの体は細かく震えていて、その小木さんの手を美鈴ちゃんはしっかりと握っていた。
「あんたが―――あんたの娘のせいで信次は―――!」
義姉が、すごい剣幕で迫ってきた。
わたしは、咄嗟に小木さんの前に立ちはだかった。
「どきなさいよ!この馬鹿な親子のせいで信次は死んだのよ!殴ってやんなきゃ気が済まないわよ!」
「やめてください。それじゃあ、信次さんの死が無駄になります」
「なんですって!?」
「信次さんは―――この子を守ろうとしたんです。この小さな子を―――死なせちゃいけない。そう思ってハンドルを切ったはずです。なのに、この親子を責めてしまったら―――信次さんの気持ちが、無駄になってしまいます」
「ふん!この偽善者!かっこつけんじゃないわよ!」
そう言い放つと、義姉はくるりと背を向け、行ってしまった・・・・・。