夢の彼方
それから。


義姉とは一度も目をあわさず、言葉も交わさないまま初七日は過ぎていった・・・・・。


「仕事、どうなんだ?」


初七日を終えタケル君とともに会場を後にしたわたしたちは、途中の喫茶店で一緒にお茶を飲んでいた。


里菜と紗菜はミルクティーとケーキを、瑠加はクリームソーダをおいしそうに飲んでいた。


「うん・・・・正直、1人で続けるのはきついかなって思ってる」


「今朝のあの人は、もしかして手伝いに来てるの?」


「渡辺さん?うん、そうなんだけど―――もう、断ろうと思ってる。あと1人、田口さんてやっぱり信次さんの友達だったっていう人が手伝いに来てくれてたんだけど、その人も断ろうかと思って」


わたしの言葉に、タケル君はちょっと考え、子供たちの方をちらりと見てから声をひそめた。


「ひょっとして、口説かれてるとか?」


その言葉に、あたしはちょっと目を見開いた。


「なんでわかったの?」


「なんとなく。あの人たち、葬儀の時からお前を見る目がなんか変だったから」


「変って・・・・」


「妙に熱っぽいっつうか、みんな信次が亡くなって悲しんでるっていうのに、あの2人はずっとお前のことばっかり見てたよ。で、俺のこともじろじろ見てたしな。怪しいと思ってたんだ―――で、どうするんだ?」


「―――あの仕事を辞めるなら、他の仕事を探さなくちゃ。でも、わたし何の資格も持ってないし・・・大学も出てないから、普通の就職は難しいでしょ?もう38だし」


「―――パートくらいしか、ないか」


「うん。コンビニとかで、夜もできるところがいいかなと思ってるけど」


「夜も?でもそれじゃあ体がもたないだろ」


「でも、昼間だけじゃ―――」


そこまで言った時だった。


「ダメだよ、ママ!」


それまで黙ってケーキを食べていた里菜が、そう言って顔を上げたのだった。
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