夢の彼方
「どうしたの?」


「仕事、手伝いに来た」


「え―――」


「俺の仕事、タクシーの運転手だから、時間は融通きくし。昼間だけなら手伝えるから」


「でも―――」


「やめたいわけじゃないって言ってただろ?もともと信次と2人でやってたんだし。俺で手伝えることなら手伝うよ」


そう言ってタケル君は笑った。


滅多に笑顔を見せない彼の、ちょっとはにかんだような笑顔は昔から好きだった。


なんとなく、昔を思い出す。


「でも―――大丈夫?」


「ああ。それで―――お前は少しでも体力つくように、食べられるようにしろよ」


その言葉に、わたしはちょっと目をそらせた。


「それは、わかってるけど・・・」


「子供たちのために働かなきゃいけないってのはわかるよ。でも、お前が元気でいなきゃ子供たちだって心配する。昨日の子供たちの顔、見ただろ?」


「うん・・・・・」


「とにかく、俺が仕事を手伝えば少しは助けになるだろ?ものが食べられないんだったら、なるべく体力を消耗しないようにしないと、な」


そう言ってタケル君はあたしの肩を叩いたのだった・・・・。
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