夢の彼方
「ママ?気付いた?大丈夫?」


目を開けると、そこには心配そうにわたしの顔を覗き込む3人の子供たちの姿が見えた。


「あれ―――あんたたち学校は?」


「何言ってんの!ママ、お仕事中に倒れたんだよ!先生が、栄養失調だって・・・・このままだと、歩くこともできなくなるって・・・そんなの、やだからね!ママが、ママまで、いなくなっちゃったら―――あたしたちどうすればいいの!!」


里菜の目から、大粒の涙が零れ―――


子供たちは大声で泣き出したのだった・・・。


「お前がいなくちゃだめなんだよ」


夜になり、子供たちを帰らせた後、心配して駆け付けてくれたタケル君がそう言った。


「働かなくちゃやっていけないのはわかってる。でも、お前が病気になったりするのは子供たちにとって、我慢できないんだよ。父親がいなくなって―――お前までいなくなったらって、そう思ってるんだ。お前が日に日に痩せていく姿を見て―――子供たちが平気でいられると思うか?今にも倒れそうなお前を見て―――何も心配してなかったと思うか?」


「それは―――」


「お前が元気でいること。笑顔でいてくれることが、子供たちにとっては何より大事なんだ。仕事は俺も手伝うから。具合悪い時は思いきって休むくらいの余裕持たないと」


なぜか、涙が出てきた。


ぽろぽろと、とめどなく流れるそれは、わたしの心の中の何かを流していっているようで・・・・・


そんなあたしを見て、タケル君がふっと笑った。


「久しぶりにお前の泣き顔、見たな。昔は、よく泣く奴だったから・・・。ずっと我慢してたんじゃねえの?」


「わたし―――」


「親になったって、泣きたいときは泣けばいいんじゃないの?我慢してるとそのうち爆発しちまうぞ」


タケル君が、霞んで見えた。


流れ続ける涙。


それが洗い流してくれたのはなんだったのだろう。


その日を境に、わたしは少しずつ食べ物が食べられるようになっていった・・・・・。
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