夢の彼方
しばらく行くと、スタッフらしい人たちがせわしなく行き来している廊下に出た。


その誰もがルークを見ると声をかけ、通り過ぎていく。


日本のような頭を下げるという習慣がなくても、誰もがルークに敬意を払っているらしいことは見ていてわかった。


「ここがanysの楽屋だよ。一緒に入ろう」


そう言ってルークがわたしたちを見た。


「え、でも―――」


わたしたちは単なる一般人なのに、こんなところに入ってもいいんだろうか?


そう思って躊躇していると、ルークがにっこりと笑う。


「遠慮はいらないよ。君たちは僕の大事なお客さまだ。誰にも文句は言わせない」


社長の威厳。


誰もが、ルークの動向を気にしている。


わたしは隣にいた瑠加の手を取り、ルークに続いて楽屋へ入った・・・・・。
< 49 / 149 >

この作品をシェア

pagetop