夢の彼方
コンサートが終わり、ルークの言葉通り有名なホテルのレストランを貸し切り、打ち上げが行われ、わたしたちもそれに参加させてもらうことになった。


スタッフやグループのメンバーはとても気さくで、わたしたちにも片言の日本語で話しかけてくれた。


親切で明るくて、自然と緊張がほぐれ、笑みがこぼれる。


子供たちもグループのメンバーに食べ物を取ってもらったりしてずいぶん打ち解けたようだった。


特に紗菜は、少しなら英会話ができるということもありいろんな人と話をしているようだった。


中でもケニーにはずいぶん気に入られているようで、料理やデザートを取ってもらったり一緒に写真を撮ってもらったりしていた。


「ケニーがあんな風に女の子に気を許すのは珍しいな」


そう言ったのはレジーだ。


「そうなんですか?」


「いろいろあって、一時は人間不信だったこともある。ルークのおかげで立ち直ったけど―――」


「そうだったんですか・・・・・」


子供のころから仕事をしてると、きっと大変なこともあったんだろうな・・・・・。


「すみませんね、こんな時間までつき合わせてしまって。帰りはちゃんと送らせますので」


にっこりとルークが笑う。


社長だというのに、この人はずっとわたしの前で低姿勢だ。


だからこそ、なんだか現実感がないのだ。
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