過去作品集○中編
吉見が好きって言ってくれた。
私も「好き」って言いそうになった。
ようやく気付いたんだ。
吉見との付き合いは、お試しの付き合いなんかじゃないって。
私、吉見が好き。
こんなにも早く誠を超えてしまうなんて、思ってもみなかったよ……
『誠先輩、美恵先輩と付き合ってんだって……』
吉見と付き合い始めて一週間が過ぎたある日。
千里は、私にそう言った。
『ってか、夏乃と別れる前から遊んだりしてたみたいなの』
まるで自分の事のように悲しそうな顔。
私ってば、本当にいい友達を持ったみたい。
『大丈夫だよ、千里! 今は吉見がいるから平気だもん』
前の私だったら、誠の話を聞くだけで落ち込んでた。
だけど今の私は強いんだ。
だって、吉見が隣にいてくれるから。
『夏乃。 その吉見の事なんだけど』
と突然、千里は私の腕を掴み、弱々しく言った。
『吉見の事?』
『……うん』
何だか言いづらそう。
嫌だな。
深刻な話みたいだし……
『……ごめん夏乃。 またでいいかな』
『え?』
『話す事、整理させて』
気になる。
気になるけど……
『わかった』
千里の辛そうな顔みたら無理矢理聞き出すのは良くないって思ったんだ。
大丈夫。
きっと、いつか話してくれるよね……?
『でさぁ…… 千里が変なんだよね』
放課後、私を待って教室に一人いた吉見に昼間の事を話す。
『夏乃より変じゃないと思うよ』
『真面目に聞いてよ!』
『聞いてるってば』
何だよ。
変にはぐらかしちゃって……
ってか、この間二人でいたのと関係あるんじゃないの?
『ほら、帰るよ。 鞄持って』
吉見は私の鞄を持ち上げ、席を立つ。
『う、うん』
そんな姿につられるようにして、私も教室を後にした。