過去作品集○中編
『話って?』
ある日の昼休み。
教室に3年の女子が現れ、私に裏庭に来るよう言い付けた。
だからわざわざ出向いてあげたのに、何で誠がいるんだ?
『大した用じゃないなら戻るけど』
裏庭のベンチに腰掛ける誠に、わざと溜め息を交えて言った。
『お前さぁ、弟の事……ってか吉見の事どう思ってんの?』
『……え?』
突然の質問に動揺が隠せない。
何でいきなり吉見の話なの?
『どうって言われても』
『吉見がこの間から夏乃とやり直すよう、うるさいんだよ』
困ったように頭をかく誠。
そしてこう付け足した。
『お前から吉見に言ってくんねぇ? 俺と戻る気ないって』
流石の私も堪忍袋の尾が切れるってやつ。
どんだけ馬鹿にしてんだよ。
こんな人を好きだったなんて、なんて馬鹿なんだろう……
『吉見。 話があるんだけど』
誠との話を終えたその足で、教室にいた吉見を人気のない非常階段に呼び出した。
『話?』
『誠に変な事言わないで。 私、誠とやり直したいなんて言ってないよ』
吉見は俯いたまま、私の顔を見ようともしない。
『どういうつもりだったの!?』
そんな吉見に腹を立て、ブレザーのエリにつかみ掛かって言った。
『勝手な事してごめん…… 夏乃は、まだ兄貴の事好きだと思って』
ようやく顔を上げると、寂しそうな目元が見えた。
『馬鹿じゃん…… 誠とは終わったし』
涙が出そうだよ。
吉見が解らない。
『吉見は、どこまで真実で、どこから嘘かわからない……』
吉見の前で泣くなんて悔しい。
『夏乃。 一年前のこと覚えてる?』
一年前?
一体何の事なの……?