過去作品集○中編


『話って?』

ある日の昼休み。
教室に3年の女子が現れ、私に裏庭に来るよう言い付けた。

だからわざわざ出向いてあげたのに、何で誠がいるんだ?

『大した用じゃないなら戻るけど』

裏庭のベンチに腰掛ける誠に、わざと溜め息を交えて言った。

『お前さぁ、弟の事……ってか吉見の事どう思ってんの?』

『……え?』

突然の質問に動揺が隠せない。
何でいきなり吉見の話なの?

『どうって言われても』

『吉見がこの間から夏乃とやり直すよう、うるさいんだよ』

困ったように頭をかく誠。
そしてこう付け足した。

『お前から吉見に言ってくんねぇ? 俺と戻る気ないって』

流石の私も堪忍袋の尾が切れるってやつ。
どんだけ馬鹿にしてんだよ。

こんな人を好きだったなんて、なんて馬鹿なんだろう……







『吉見。 話があるんだけど』

誠との話を終えたその足で、教室にいた吉見を人気のない非常階段に呼び出した。

『話?』

『誠に変な事言わないで。 私、誠とやり直したいなんて言ってないよ』

吉見は俯いたまま、私の顔を見ようともしない。

『どういうつもりだったの!?』

そんな吉見に腹を立て、ブレザーのエリにつかみ掛かって言った。

『勝手な事してごめん…… 夏乃は、まだ兄貴の事好きだと思って』

ようやく顔を上げると、寂しそうな目元が見えた。

『馬鹿じゃん…… 誠とは終わったし』

涙が出そうだよ。
吉見が解らない。

『吉見は、どこまで真実で、どこから嘘かわからない……』

吉見の前で泣くなんて悔しい。

『夏乃。 一年前のこと覚えてる?』

一年前?
一体何の事なの……?
< 115 / 120 >

この作品をシェア

pagetop