幼なじみ


午後になって二人で歩くスタジオへの道。
これからここを歩くことも少なくなるのか...
「涼、初めて仕事した時のこと覚えてる?」
「あぁ。緊張したけど楽しかった」
「これからもあの楽しさを忘れずに仕事がんばってね」
「なに言ってんだよ?」
「何でもないよー」





このときから自分の異変に気づいてたのか?
このときからもう運命を見定めていたのか?
俺と優衣が離れ離れになってしまう運命...。





「酒井さんちょっと話いーすか?」
「あぁ」
近くのカフェに3人で座ってる。
深く帽子をかぶった優衣と、店内でサングラスをかけてる俺。
眼鏡をかけた真面目そうな中年男性。
周りから見たらどんな光景なんだろう?





「話って、何?」
酒井さんは想像もしてないんだろうな。
自分が育て上げた最高のモデルががんなんて。
「あたし白血病なんです」
「へ??」
「最近体調悪くて、病院行ったんです」
「間違いはないの?」





少し、いやだいぶ驚いた様子の酒井さん。
「ないみたいです」
「治るんだよね?」
「...」
言葉に詰まる優衣。
「可能性がないわけじゃないそうです。そこまで進行してなくて、今は通院治療してます。若いから進行早いみたいで...今はあんまりいいとは言えません」






酒井さんはただただうなずいてた。
「だから仕事を減らしたいってことで...」
「あーわかった。マスコミには言わない方がいいよね」
「あ。はい...」
「こちらは全力でサポートしていくよ、二人ともがんばって。」
酒井さんは全部わかってくれた。






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