【完】とわの風、青空の君。
キュウちゃんが旅立つ空は、あの日の試合の時のような、雲一つない青。


「授業、さぼちゃった」


私はこの日、生まれて初めて学校の授業をさぼった。

キュウちゃんを見送るために屋上へきていた。


「どうせなら昨日さぼれば良かったな」




私はキュウちゃんに自分の想いを伝えることが出来なかった。

旅立つキュウちゃんにそんなことを言っても、迷惑をかけるだけなんじゃないかってそんな気がしたからだ。


「私が好きな物・・・ううん。好きな人はキュウちゃん」



ゴオオォオォオオオ・・・・・・



キュウちゃんを乗せた飛行機が、私の頭上を通過していく。


始めはくっきりとしていた飛行機雲が、青い空になじんでいく。


「この青い空に、キュウちゃんがいつまでもいたら良かったのに」


私の目から涙が溢れた。




青い空を見るたび、キュウちゃんのことを思い出す。


キュウちゃんは風がふくたびに、私のことを思い出しているのかな?

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