眠る心
私と、しゅうちゃん

二人は、しっかりと手を繋いで
黙ったまま、しばらく
夜景を見つめていた。

貴方の、冷たい手に

私の、温かい手が

そうっと、触れる。

「お前の手、安心する」

私は、その言葉に微笑んだ後
貴方に告げる。

「しゅうちゃん、あのね
 私、仕事
 辞めてもいいかな?」

「いいよ、でも

 なぎは、それでいいの?」

「私ね、旦那様や自分の子供
 には『おかえりなさい』って
 ずっと言い続けてあげたいの
 
 家に帰って来て
 誰もいないのは寂しいから」

寂しい・・・
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