サガシモノ~愛と友情の果てに~





1年と少し前に、郷(キョウ)とトーマスは出会った。



「なんでお前、1人でいんの?」



陽気に言うトーマス。
その勢いに圧倒されながらも、郷は口を開いた。

「友達が、いないから。」



日系人である郷は、つい最近まで両親と日本で暮らしていたが、不慮の事故で両親を失い、行き先を無くしたまま、母国である英国へ渡ってきたのであった。



ようやく学校を見つけて1週間。

疲れが先行し、上手く人間関係を築けずにいた。



「ダッセェ~!!お前、つまんなっ」

「…いないの。」



半ば泣きそうな郷。

砂浜に座る郷の隣に、トーマスはどかっと腰を下ろした。

「じゃあ、今から俺が友達な。」

「え…?」

「だーから、俺と、お前、友達な!」


満面の笑みを浮かべて、まっすぐに郷と目を合わせて。


「ありがとう…」



これしか言えなかった。





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