エングラム



ザ・バンド──The Band──は1967年から1976年にアメリカで活躍したロックバンド。
以後もメンバーチェンジなどを繰り返しながら1999年まで活動していた。

音の幅広さ、シンプルで重厚な音が良いと、後からケイがそう説明してくれた。

「──曲名は、The Weight」

マイクも何も通さず、灰色の中にケイが声を落とした。

「これは歌詞を気にせず聴いてね」

歌詞を気にしない?
疑問を感じたが、シイが頷いて目を合わせてくれたので、それが良いんだろうと思う。


始まったのは──シンプルな、音楽。


アメリカのロックバンドというから激しいものを想像していたが、シンプルで落ち着いていた。

それ故にメロディはストンと耳に馴染んで、歌詞が耳を通り溶けていく。

控えめなドラム。
小さいがしっかり支えているベース。
弾いて繋いでいくような音のギター。
英語が少し拙く、声はやや細いケイの歌声。

コーラスの部分は“余計なものの無さ”が良かった。

無駄のないシンプルさが心地好い。
そんな曲だった。
波のような曲だと思った。



< 135 / 363 >

この作品をシェア

pagetop