エングラム


昼休みが終わり午後の授業が始まる。
この総合の時間は、学校行事についてだった。こういうのは嫌いだ。

二学期は何かと学校行事が多い。
体育祭、そして合唱コンクール。

その度に、クラスのリーダー格が熱血指導。
勝手に繰り広げられる青春ストーリー。

私はいつも枠の外、ただ枠の中の人たちに紐で繋がれているだけだ。


頬杖をついて窓の外を眺めているうちに、体育祭での私の競技が決められていた。

緑の黒板に、白いチョークで書かれた名前を見つける。

50メートル走のタイムを元に選手を決められたらしい。私は100メートル走。

中々速いメンバー揃いのそれに、何故私を混ぜるのか。

遅いだの愚痴を言われそう。

そんな現実を見たくなくて、再び窓の外に目をやる。


空の水色に透明感。
秋に近付いてきている。

私の夏は、どんなものだったのだろう。

やけに熱かった気がするのだけれど、吹いてきた風に冷まされてしまった。

「太陽になりたい、か…」



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