洒落にならない怖い話
普通の子に戻れた日
小さいころ、私は知的障碍を持っていると思われていました。


言葉や文字に対する遅れは見られませんでしたが、コミュニケーション能力が欠けているとしか思えない様子だったそうです。


人と目を合わせない、会話ができない、約束事が守れない。


一方で、何もないところに向かって延々と話し続ける、と気味の悪い言動を見せていました。


また、距離・時間を考えるとおかしな行動をしていたそうです。


例えば、母が車で家から1時間くらいかかる公園に連れて行ってくれたとき、目を放した隙に、ふらりと私が消えてしまったらしいです。


その後すぐ、どうしたらいいか留守番をしていた父に電話したところ


「あれ?お前○○は置いて行ったんじゃないの?」


私はもう家に帰っていたそうです。


また、夜の3時、4時になっても私が帰ってこないので、心配して捜索届けまで出し探していたところ「ちょっとでかけてきたよ」といわんばかりの私が帰ってきたりしたそうです。


私の家は田舎の田んぼのど真ん中にあるため、誰かが車で送ってくるなどすればすぐに分かったはずなのですが、誰も気付いた人はいません。


周りでは、神隠しにたびたび会う不気味な子と扱われたりしました。
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