洒落にならない怖い話
首の紋章
私の父方の祖父は今年で齢90近くになるが今でも現役の漁師だ。


年一度、盆に九州の祖父の家に遊びに行った時は、祖父と一緒に沖に出て釣りをするのが今でも恒例になっている。


私が小学5年の夏休みに、初めて祖父の家に遊びに行った時のこと


釣りをしようと祖父の舟で、二人だけで朝方の5時に港を出てとっておきの漁場に向かう。


数十分して漁場に着いたので舟のイカリを降ろし、仕掛けを作って海に竿をおろす。


早起きしたせいかうつらうつらと眠たくなってきた私は、祖父に「何か面白い話しをしてくれない?」とお願いした。


祖父は「うーん・・・」としばらく考えて、ハッと何か気付いた様子。


日焼けで真っ黒な顔をしわくちゃにして、ワハハと笑いながら言った。


「こんな話があるんだ」


祖父がまだ20歳そこそこで親父と一緒に漁してた時のこと。


その頃は大正・昭和初期で漁師達は品粗な小型エンジン船で沖に出て漁をしていた。


ある日、祖父の父が目の病が酷くなり病院に行くことになったため、祖父が1人で漁に出ることになった。
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