幼なじみは年の差7歳【完全版】


…でも、なんだか心がチクチクと痛む。
私の知らない冬馬兄ちゃん。それを知ってる人が居る…。

私、冬馬兄ちゃんの一番だと思ってた。
付き合ってたわけじゃないのに、一番近くに居るのは「私」って信じて疑わなかった。

…自惚れもいいとこだ。馬鹿みたい。


「ごめん、なんかちょっと泣きそう」


なんとか笑顔を作るけど、やっぱり涙は溢れてしまう。
冬馬兄ちゃんは困ったような顔で、私に触れようかどうか迷っている。
いつもなら優しく涙を拭ってくれるのに、今日はそれが無い。


「もう過去のことだよ」


その代わりに放たれた言葉。
そしてその数秒後、冬馬兄ちゃんは私の体を抱き締めた。


「ごめん、どうすればいいかわからない。
言ったら美和が傷つくってわかってたけど、だからって黙ってた方が良かったとは思わないし…。
“事実”は変わらないから…受け止めてほしい」


冬馬兄ちゃんは静かに言い、それから距離を取る。
ポケットから何かを出し、私の手に握らせる。

それは、携帯電話…。
事故で壊れたと聞いていた私の電話。


「良明くんのこととか、混乱すると思って。
黙っててごめん」


ふ、と見せた笑顔は少し寂しそうな感じで、どこかツラそうにも見えた。


「今日は帰る。何かあったら連絡して」


…返事が出来ないままの私を残し、冬馬兄ちゃんは出て行った。




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