依存~愛しいキミの手~
「ともさん行きそうな場所は?」


圭介が私を抱きしめて、頭をなでながら言う。


「ぜ、全部回っ…たけど…いない…」


嗚咽が邪魔をしてうまく話せない。


「後輩に頼んでりょうさん家行ってもらったけど、鍵は開いてたけど誰もいないって…。とりあえず今もいてもらってるから、ともさんが来たらすぐ連絡は来るよ」


優が運転席から、後ろを振り返って言った。


優の目も赤くなっていた。


うまく呼吸できない私の背中を、圭介がトントンしてくれた。


「とりあえず三鷹戻るか…」


優がそう言い、アクセルを踏む。


圭介の家で、みんなで知美からの連絡を待ったが、かかって来ることはなかった…。


その日の昼すぎ、圭介の携帯にオーナーから連絡が入った。


携帯を耳につけたまま、真っ直ぐに前を向く圭介の目から涙がこぼれ落ちる。


それを見た私たち3人は、圭介が言葉にしなくても何を言われたのか理解した。

「まじ…かよ…りょうさん…」


優が俯き、片手で顔を覆い泣き声をもらす。


その場に突っ伏して声を荒げ泣く美香。


私は、ただ呆然とし、りょうちゃんとの思い出が頭の中を駆け巡っていくだけだった。
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