線香花火~ひと夏の小さな恋~
「でしょ?」

そういって笑う。

「あれ、もしかして、妬いてる?」

「なんで?」

「目が笑ってない。」

「笑ってるよ~。」

「もう長い付き合いじゃないか。杏李の事なんか、目みりゃすぐわかるよ。
俺の目はごまかせないんだから。」

すべてを見透かされるような黒く、切れ長で、澄んだ瞳で見つめられれば、この私だってちょっとくらい照れる。
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