3番目の高度合成数。-年下のキミと-
 大志くんは違うお客さんのところにずっといて、時折こちらを見ているのが分かる。


 でも私は、大志くんの方を見れなかった。


 大志くんが視界に入るたびに、赤いシュシュがチラついていた……。




 ――私、何を気にしてるんだろう?



 大志くんに彼女がいても、関係ないことなのに。





「家で勉強したいから、今日はもう帰りますね」


 いつもより早くレジに向うと、大志くんが寂しそうに見送ってくれた。


「勉強、頑張ってくださいね。またいつでも聞いてください」


 そんな元気ない声ださないでよ。


「ありがとう」

 私は曖昧に笑ってお店を出た。



 もうすっかり日は落ちて、薄暗い。

 大きく深呼吸をひとつして、帰途についた。
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