3番目の高度合成数。-年下のキミと-
「ううん、平気だから……」


『本当に?』


 短い言葉でも、大志くんが本気で心配してくれるのが分かる。



 ……そんな風に心配してくれると……なんか涙出てきちゃうじゃん……。



「大丈夫、だよ」


 上手く返事をしたつもりだったけど。



『実句……さん?』


 大志くんの不安そうな呟き。


 ……涙声なのがバレてしまったらしい。



「ごめん、なんでもないから」



 受話器の向こうが息を止めてるみたいに、無音になった。


 何も聞こえないのに不思議と戸惑いのようなものが伝わってくる。




『彼氏さんと何かあったとか……?』


「ははっ、違うよ」



 大袈裟な予想に、私は力なく笑った。
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